さほどにも関わらず、ダジャレのために「遠方」にしてしまった奈良県の社団福祉法人「たんぽぽの家」さんで開催された、「福祉を変えるアート化セミナー」に3日間続けて参加してきました。
「なぜ福祉セミナーに?」と思われるかも知れませんが、実はそれほど不思議なことではない、と自分では思ってまして、例えば弊社のソーシャルバンド「3兄妹ユニット一途」の活動も一つの福祉の形です。
そもそも「福祉」とは、
ふだんの
くらしの
しあわせ
のことだ、って福井県社会福祉協議会さんの60周年記念イベントの折に教えていただきましたしね。(いいこと聞いてヨカッタ!)
1.たんぽぽの取り組み
まず一日目は、プレセミナー&プログラム見学。ここでいう「プログラム」とは、かみ砕いた表現で言うと、「入所者(たんぽぽさんでは"メンバー"といいます)のための、福利厚生、健康管理システム」みたいな感じです。
自由にフラワーアレンジを楽しんだり、ネイルアートのオシャレで乙女の笑顔満開だったりと、これぞ「普段の暮らしの幸せ」活動を通して、心と体の豊かさを満喫されているように感じました。

私が最も驚いたのは、これらプログラムの参加費用は原材料(にも満たないと思う...)程度で、地域で活動されている本職の方や有資格者の方々が、ほとんどボランティア活動で講師を務めてらっしゃる...ということでした。
質疑応答の時間に、
「(福祉に全く関わりがなかった)講師の皆さんが、ボランティアで参加される"きっかけ"って何ですか?」
とお聞きしたところ、
「職員の方と知りあいだったり、地域のバザーや、不用品市で出店したり...あとはこの施設を地域のイベントに貸していただいたり...そんなきっかけで、たんぽぽを知りました」
とのこと。
たんぽぽさんの取り組みの特長の一つは、「地域密着型」と「ボランティア」で(←あ、2つ...^^;)、ともすればまだ誤解を受けてしまいがちな「障害者福祉施設」のイメージを払拭する実にオシャレで開放的な施設と、スタッフの方々の見事な企画力と行動力による、「地域の人たちと一緒に作り、楽しむ」という仕組みが見事に構築されていました。

なお、こちらで販売されている商品の企画、プロモーション、マーケティング、またイベントやプログラムなどの事業アイデアも、ほとんどがスタッフさんによる自主的なものらしく、これも度肝を抜かされました。
その質の高さは、並の一般企業を凌駕するレベルでした。

2.若干29歳の天才的な志
セミナー後、たまたま当日開催されていた障害者の皆さんによる音楽祭も見学し、ストレート&ピュアな歌と演奏と踊りに心底満足の下1日目が終了。
そして二日目。
ケアプロの川添社長、財団法人たんぽぽの家理事長播磨氏、奈良県立大学地域創造学部 石川敬之氏の講義と、切り口はそれぞれながら、どれも非常に学び多きセミナーでした。

本当は、それぞれご紹介したいところなのですが、紙面と時間の都合上、個人的に特に心に残ったのは、若干29歳の川添社長による、ケアプロのお取り組みです。
現在、日本人の死因の7割をしめる、糖尿病などの生活習慣病。様々な合併症を引き起こし、重度の患者さんは、体の一部切断したり、失明したり、悲惨な症状と戦わなくてはいけません。
そうならないためには、早期発見のための定期的な健康診断が必須なのですが、様々な理由から診断を受けられない「健診弱者」の数は3,300万人にものぼり、重度の患者さんへの国からの医療費負担額は年間10兆円を超えるといいます。
「誰もが定期検診を気軽に受けることができたなら、多くの苦しみと財政負担から解放されるのに...」
この想いから、様々な試行錯誤と苦難の末、10秒で自己検診ができる機器を導入し、たった500円で診断ができる「ワンコイン健診」を事業化し、現在着実に受診者を増やし、多くの人の苦しみを未然に防ぐことに成功されています。
このケアプロのすごい所は、法的に医師の立ち会いが義務化されている「健康診断」から、被検者自身による「自己検診」への見事な発想転換。
この後、講義をされた石川氏も「ソーシャルビジネスの条件」
・社会的課題の解決を目的とする
・利益をあげ、自立し、継続性がある
・利益の最大化を志向せず、利益の配分を行わない
・革新性をもつ
の中で、ケアプロの秀逸さは革新性=イノベーションにある、と解説されていました。
誠もって素晴しい志&事業!...と、思わず拍手しながら名刺交換に行きました。実に熱き魂と、クレバー&クールさを併せ持つ若き天才でした(^^)
3.ビジネスの原点に気づかされる...
3日目は、たんぽぽの家でグッズ展開をされている、障がい者アート作品の企画、デザイン、プロモーションを一手に行われている、敏腕デザイナー伊原さんのご講演。彼女が手がけられているグッズの数々は、本当にオシャレでどれも素晴らしい!
パルコのショップでも通販されているので、是非チェックしてみてくださいね。
そして、長野で今は氷点下の中、障がい者の方達を正規雇用して、完全無添加のせっけん作りでビジネスとしても成功されている「ねば塾」の笠原さんのお話。

書道家のような佇まいの笠原さんは、障がい者の方達を雇用し給料を払うためのあらゆる苦労を経て、
「本当にいい商品を安く売れば、営業なんてしなくても、皆が勝手に売ってくれるんだよ。ありがたいね!」
という、商売の原点をそのまま実体験のストーリーとしてお話くださいました。すんごい面白かったー。。。
それから、これは講師の方ではないのですが、ある方のアイデアが深く印象に残りました。
その方は、ある障害者の方と「交換日記」をされているそうです。
日記のお相手の方は、視覚にも言語にも障害があり、コミュニケーションがうまく取れません。
そこで、何とか定期的に1対1の意思を通わせる時間を取りたい...と考えた末に思いついたのが、紙の切り抜きなども使って工夫をこらした「交換日記」だったんですね。
この交換日記を通して、その障害者の方は徐々に心を開かれ、笑顔がこぼれるようになってきたらしいです。
彼女は「この交換日記を、まだ仕事にはしたくないんです。だから内緒にしてるんです」と、キラんキラんの笑顔で言われてました。
この交換日記には、生存欲求よりも強いと言われている、所属欲求を満たす効果があるのだと思います。コミュニケーションがうまく取れない人にとって、どれほど「存在を認められる証」になっていることか。障害者の方の笑顔が、そのことを証明しているよなぁ〜と。
ビジネスとは、ある種「仕組み」を作ることだと思います。が、「仕組み」から考えようとすると、ともすれば誰も喜ばない物になってしまう危険性がある...。
このような優れたアイデアは、「一人の人を心から喜ばせたい」と考えたからこそ生まれたのだと思います。
この気持ちこそが、実は「仕事の原点」なんじゃないか?そんな、どこか襟を正される思いになりました。
実にシンプル。だからこそ天才的。
最後に、この3日間のセミナー&見学会は、本当に行ってよかった...と思えるものでした。
この機会をご紹介くださった小玉さんと、運営された関係者各位、講師のみなさん、ここでご紹介できなかったご縁をいただいた全ての方々に心から感謝申し上げます!ありがとうございます。
あと、体にいいはずの奈良の天然温泉も、浸かった後はあったかくして寝ないと逆効果になることを鼻水まじりにお伝えして、レポートのしめくくりとさせて頂きたいと思います(ズズっ...)。

セミナーの合間に現れた見事なエンジェルズラダー!
