震災以降、エネルギー資源の見直しが今まで以上に叫ばれていますが、実はインターネットにも資源問題があります。
インターネットに接続する機器には、例外なく「IPアドレス」という住所のようなものが割り当てられます。これは、0~255の数字を4つ組み合わせたもので、
0.0.0.0~255.255.255.255
まで存在します。組み合わせの総数で言うと、
256×256×256×256 = 4294967296 = 約43億個
となります。43億・・・なんかすごく多そうに見えますが、実はすでに不足しているんです。
これは、パソコン、携帯、家電にいたるまで、世界中のデジタル機器がこぞってインターネットに接続するようになった結果です。インターネットはもはや世界を支えるインフラですから、地球人口にも満たない数ではとても足りないのです。
さて不足するとどうなるか。少々大袈裟な表現をすると「IPアドレスの奪い合い」が発生します。ただし、IPアドレスはIANAをトップとする国際的な組織によって割り振りが管理されますので、実際にはそんな物騒なことにはなりません。
しかし不足しているのは事実です。4月には、日本のIPアドレス担当しているJPNICが、日本におけるIPアドレスの枯渇を宣言しました。
もちろん対策はあります。その代表例が、IPアドレスの共有です。ひとつのIPアドレスを複数の機器で共有することによって、接続する機器を爆発的に増やすことが可能です。
実は、この技術は家庭用のルーターなどでも使われており、ほとんどの人がその恩恵にあずかっています。もしこの仕組みがなかったら、インターネットはとっくの昔に破綻していたでしょう。
もうひとつは、もっと抜本的にIPアドレスの仕組み自体を変えることです。IPアドレスの枯渇はずいぶん前から分かっていたことなので、その準備は着々と進められてきました。新しいIPアドレスを「IPv6」というのですが、これはなんと
340282366920938463463374607431768211456個
あります。もはや多く過ぎてなにが何だか分からない数字です。(340兆の1兆倍の1兆倍だそうです)
これだけあれば、まあ無限といっても差し支えないような気がします。もっとも、最初にIPアドレスを作った人達も同じことを思って43億個にしたんでしょうから、将来どうなるかはわかりませんが。
なお、いままでのIPアドレスの仕組みを「IPv4」と呼びます。
さあ、それならすぐにIPv6へ、といきたい所ですが、ことはそう簡単ではありません。IPv6とIPv4には互換性がないため、世界中にあるデジタル機器をIPv6に対応させなければなりません。これは地デジへの移行よりも遙かに大変なことです。
(ちなみに、最近のパソコンはちゃんとIPv6に対応していますので心配はいりません)
そのため今まではゆっくりゆっくりと進行してきましたが、実際にIPv4のアドレスが枯渇し始めたことで、いよいよ業界全体が本気モードに入りました。例えば、6/24には「World IPv6 Day」というちょっとした予行演習が行われ、Yahoo、Googleなどの大手webサイトが、24時間だけ自社のサービスをIPv6に切り替えました。
この日、IPv4にしか対応していない機器はこれらのサイトにアクセスできなくなったはずですが、幸いなことに大きな混乱はなかったようです。いままで地道に準備してきた成果ですね。
IPv6は単にアドレスの数を増やしただけではなく、セキュリティの向上なども図られています。IPアドレスの共有などという面倒な仕掛けを使う必要もなくなるので、本格的に移行が進めば、インターネットの世界がずいぶんシンプルになることは間違いありません。
しかし、世の開発者にとってはこれは恐怖の大王みたいなものです。過去に作ったプログラムが動くかどうかひとつひとつ点検しなければなりませんから、世界中でとんでもない労力が支払われることになるでしょう。自分にとっても人ごとではありません。
物理的な資源問題と同じく、地球規模の協力がないとIPアドレスの枯渇には対処できません。おそらく2011年は、本格的にIPv6へと移行を開始した年として歴史に刻まれることになるでしょう。
















